薬機法チェックのおしごと

薬機法に基づいた広告チェックを行っています。

美白美容液の広告チェック:ドクターズコスメは開発者のプライドも考慮して。

美容皮膚科の先生が開発したという美白美容液の広告チェックについて本日は記載したいと思います。
ドクターズコスメというのは、世間でも沢山ありますよね。
美容皮膚科に行ってもよく見かけます。
ドクターが作ったコスメなのだから安心して使えそうですが、だからといって広告で何でも言っていいわけではありません。

開発者のことを考えながらチェック。薬機法のジレンマ

開発された先生と実際に会ってはなしたわけではないのでわかりませんが、きっと効果のあるものにしたいと思っていたでしょう。
その美容液について「○○倍の浸透力」とか「最大の濃度」という表現がたくさん記載されていました。
しかし、薬機法の観点からは、これらの最大級表現は使えないのです。
どうやって先生のプライドを傷つけずに、法律の範囲内で表現を調整するか、塩梅が難しい問題でした。

聞いたことのない成分との格闘

さらに、この広告チェックで苦労したのが聞いたことのない成分が配合されていたこと。
その成分について調べつつ内容が正しいのか調べるのに相当な時間を費やしました。
私の仕事は本来、成分についてを調査することではありません。
ですが、正確な情報をもっていないと修正するにも的外れな修正を行なってしまう可能性があり、この調査は避けて通れない道でした。
実際、成分の説明欄には、書いてはいけない言葉が満載で、薬機法・景表法に則った表現にするために、書き直しに近い作業になってしまいました。
自分の語彙力の無さに挫折しそうにも途中なりました。


このお仕事で、ドクターズコスメの広告チェックはただのチェックではなく、開発者の思いと法律の枠組みをどう融合させるかという作業であったように感じます。
成分については今後自分自身もっと勉強が必要だなと思った案件でした。

歯を白くする歯磨き案件

歯が白くなるという歯磨き粉ってありますよね。
大手企業さんのやつではなくて。
貼るだけでしろくなるとか、パウダーとか。そんな商品の依頼を受けたときの話です。

私は依頼を受けた時点で、その商品の分類を必ず確認します。
なぜなら、その商品が医薬品なのか、医薬部外品なのか、それとも化粧品、雑品なのかによって、
使える表現がガラリと変わるからです。

化粧品?医薬部外品?それとも医薬品?

まず、この歯磨き粉がどのカテゴリーに属するのかを確認しました。
化粧品だと、歯に関する効能効果として認められる表現は限られています。
例えば、「歯を白くする」や「口臭を防ぐ」など、56項目の中から選ばなければなりません。
一方、医薬部外品では、「歯を白くする」や「口中を爽快にする」など、もう少し具体的な効果を謳うことができます。
そして医薬品になると、疾病の治療や予防効果を表現できるので、さらに詳細な記載が可能です。

「ブラッシングによる」という言葉は万能?

広告で「ブラッシングというのを書けば許されるのか?」という疑問が浮かびました。
特に化粧品の場合、歯みがき類の効果を謳う際には「使用時にブラッシングを行う」という条件付きでの表現が必要になることがあります。
しかし、商品が化粧品だった場合、すべてに対してこれを書けばいいでしょうか?
見た目的にはうるさくなるし、万能だとも思えません。
当たり前だけど、広告は一般の方にわかりやすく、誤解がないように表現することが大切なので、慎重に表現を選ばなければならないと思ってます。

歯磨き粉のチェックの難しさ

「歯が白くなる」と謳う歯磨き粉の広告チェックは、カテゴリーの違いによる表現の変化、
ブラッシングの表現の是非など、多くのポイントで難しさを感じました。
しかし、これらの複雑なルールを正しく理解し、適用することで、消費者に誤解を与えず、安全な広告・情報を作提供することができます。
ただ、最終的に私の修正をどこまで使用するかは企業さん次第ですが。

No.1表示があったら赤入れします。

「NO.1」って書いてある広告、信じちゃいますかね?
私はこんな仕事をやりつつも、化粧品買う時は@コスメLDKで何位とかいうのはつい見てしまいます。
こんなお仕事しているのに。

この仕事をしていて広告に「NO.1」が書かれていたら、真っ先に赤入れしますね。
「NO.1」表示は景品表示法(景表法)ではNGになる確率大ですから。
なのでこういった場合がクライアントさんに辞めたほうがいい旨伝えます。
客観的な調査に基づいて表示されているのであればいいのですが客観的かどうか調べられて
絶対の自信があれば表示してもいいですが
少しでも調査が偏ってたり、調査項目が自社に有利になるように設定されているとなると、
それは客観的じゃないってことになっちゃいます。

アンケート作るときに、多少高評価をえられるような内容になってませんか?
多分省庁に言われたら勝てる確率は低いと個人的には思われますのでやめておくのをお勧めします。

「4週間で-20kg」広告、なぜ平気でだす?そして買っちゃう?

これ、昨年の12月の記事です。
www.asahi.com

こんなのありえんでしょ。とすぐに思ってしまいますが
企業はどうして平気でやっちゃうの?
もし購入した人がいたら、どうし買ってしまうの?

消費者の心理

痩せたい、キレイになりたい。そんな願いを持つ人が多いのはすごく理解できます。
私も痩せたいは無いけど、きれいになりたいはいくつになっても思うし。
一瞬で叶えてくれそうな広告に、つい期待しちゃいますよね。

「国が認めた」的な言葉も誘惑の一つでしょうね。
機能性表示食品って、企業が自分たちで効果を証明して国に届け出るシステムなので、国が認めているわけでもなんでもない。
でも、機能性表示食品って書いてあると、なんだか公式にOKが出てるみたいなイメージもあるでしょう。

企業はなんでこんなことするの?

ダイエット市場は戦場。叩いても叩かれても次から次へと新しい商品が出てきます。
だから、できるだけ大げさに宣伝しないと埋もれてしまう。
そして機能性表示食品の制度はトクホと違って、ちょっとゆるゆる。
だから、機能性表示食品を謳って「お墨付き風」にしているのもあると思う。

このような商品のチェック依頼がきたら?

薬機法だけではなく景品表示法の観点からもチェックをします。
過大な効果は謳うことはできないのでNGなものははっきり言います。
機能性表示食品の場合は、届け出た内容に基づいて表現をチェックするようにしています。
「国が認めた」的な表現はNG出します。
体験談はNGではないので過大な効果を示唆しないよう注意しながら使用します。
健康に対する一般的な知識を提供することは必要と考えています。(飲むだけでは痩せられない的な)それによって信頼を得られるようにします。

上記のようなことに気を付けてお仕事をしています!

糖質カット炊飯器、なぜダメだった?

先日、ニトリをはじめ糖質カット炊飯器を販売していた計4社に再発防止などを求める措置命令が出されました。
糖質カット炊飯器、景品表示法違反となった理由は、誤解を招く広告が主な原因です。
これらの炊飯器は、炊飯中にでんぷんを分離させる方法などにより、糖質を33~59%カットできると宣伝されていました。
しかし、実際には、独立行政法人国民生活センター」によるテスト結果では、
すべての銘柄で「通常炊飯」より「糖質カット炊飯」のごはんの方が糖質の割合は低かったものの、広告でうたわれていた糖質の低減率を満たさない場合が多く見られました。さらに、同じ量の米から炊いたごはんでは、糖質カット炊飯と通常炊飯の間で含まれる糖質(でん粉)の総量に大きな差はみられなかったとのことです。

今回引っかかってしまった企業さん、第三者機関が行った試験結果などを消費者庁に提出をしたとのことですが、その結果は認められなかったとのこと。
昔、薬機法のセミナーに参加した時、
データを出せと言われて提出してもたいてい勝てないそうです。

この事例から、健康やダイエットに関連する商品を扱う際は、「科学的根拠に基づいた正確な情報を提供すること」が求められます。
だからこそ、企業は責任ある立場で商品開発する必要がありますね。
ただ、消費者庁のページに載っている広告を見てみると、それなりに頑張って試験をしていたようにも見えます。

私がこの広告チェックの依頼が来たら、他社比較(糖質カットの機能がないメーカー)にならないか不安になりますね。
また、○パーセントカットという試験結果は本当大丈夫か心配になって、確認してしまうかも。
これはなかなか難しい広告ですね…

ステマ規制について

10月からステマ規制が開始されました。
それについてまじめに書いてみたいと思います。

ステルスマーケティングステマ)の問題とは?

今更ですが、広告であるにもかかわらず、その事実を隠すことが、ステマと呼ばれます。企業の広告や宣伝は、ある程度の誇張や誇大表現が含まれていると今の消費者は認識して広告を見てます。しかし、ステマでは、広告であることが分かない、第三者の感想と誤解されてしまう可能性があることが問題となっています。

消費者の保護とステマ規制の必要性

消費者は広告の信憑性を見極める上で、広告であることを正確に把握する必要があります。ステマが蔓延すると、消費者が商品やサービスを正確に把握する環境が損なわれます。そのため、ステマを規制することは、消費者の保護と公正な市場環境の確立に役に立つのではないでしょうか。

景品表示法に基づくステマ規制

景品表示法ステマの規制に当たります。この規制の対象は、広告主です。企業からPRの依頼を受けたインフルエンサーは規制の対象とはなりません。意地悪な言い方をすると、ほっとしたインフルエンサーは多かったのではないでしょうか。

インフルエンサーと規制の関係

上記にも記載したように、企業から広告の依頼を受けたインフルエンサーは、景品表示法の対象外とされています。だからと言って好き放題にステマをした場合どうなるでしょうか。企業は罰せられ、企業から依頼を受けたインフルエンサーは企業や広告代理店からお叱りを受けるでしょう。インフルエンサーは直接国から罰せられることが無くても自身の倫理的責任を認識し活動をすることが求められるでしょう。

アフィリエイトはどうなる?

広告をするという点でアフィリエイトも見逃せません。アフィリエイトはそもそも「広告」なのできちんと「広告」とわかるように記載をすること、もちろん誇大広告はNGです。これはアフィリエイターの義務でもありますし、広告主(広告代理店含む)もアフィリエイターの管理が必要と個人的には考えます。結構このあたりできていない企業(広告代理店含む)が多く、名の知れた企業においてもそういったことができていないところもあります。今後ステマ規制で企業はコンプライアンス意識を上げていく必要があると思います。

まとめ

ステマ規制は、消費者保護を考えるうえで重要な措置でしょう。景品表示法に基づく規制は、広告主を対象にしています。一方で、透明性と倫理観は広告をするうえで、重要な価値観です。企業とインフルエンサーの間でお金が発生したら、それは広告の何物でもありません。広告を行うすべての人の意識が上がることを願います。

ChatGPTに薬事チェックをさせてみた。

私が最大のライバルと思っているchatGPT。
これに薬事チェックをさせてみました。
最近よくSNSで流れているはがすタイプのシミ取りシール。
私もシミには困っているので、これが本当なら使いたいです。だが!高級な化粧品でもシミは取れはしない、レーザーのチカラでないと基本は無理と思っているので、この案件が来たら、自分だったら断るだろうなー。
さて本題。広告文言はこちら

                                                      • -

気になるシミ・黒ずみのお悩みに…シミ出すうるおい成分でクリアな肌
●夜のお手入れに
ダメージを受けたお肌にパック→古い角質をキャッチ→使うたびにクリアな肌へ
気になるシミや黒ずみに→ピンポイントに塗って→約10~20分待って→約10分でどんどんシミ出す!乾いたらはがすだけ!手にも使えます

                                                      • -

ChatGPTからの回答は…

提供されたテキストからは、薬機法違反とみなす具体的な部分は明確には示されていませんが、薬機法違反についての評価は文脈に依存し、法的な専門家による詳細な検証が必要です。しかし、以下の点が懸念材料として考えられます:

1. 効果の誇大広告:テキストには、製品がシミ出すうるおい成分でクリアな肌を提供し、約10分でどんどんシミが出るという効果を示唆する表現が含まれています。このような表現が誇大広告であるかどうかは、科学的な根拠に基づいて判断される必要があります。

2. 医薬品的な効果の主張:製品がシミや黒ずみに対して医薬品的な効果を持つかどうかは、薬機法に関連する重要な要因です。特に、医薬品として認可されていない製品が医薬品として宣伝されている場合、法的な問題が発生する可能性があります。

3. 成分情報の正確性:提供されたテキストには、製品に含まれている成分についての情報が含まれていますが、これらの情報が正確であるかどうかが重要です。また、成分についての誤解を招く表現が含まれていないかも確認する必要があります。

4. 詳細な文言と文脈:法的な評価には、詳細な文言と文脈が重要です。提供されたテキストは抜粋された部分であり、全体の文脈や製品の特定の宣伝方法についての情報が不足しています。

総合的に、このテキストからの情報だけでは薬機法違反があるかどうかを確定するのは難しいです。薬機法違反に関する具体的な判断については、詳細な情報と法的な専門家のアドバイスが必要です。

どうでしょうか。核心はついてないですが、まあ参考にはなりそう?
広告文言の一文を入れているだけなので、判断できていない部分もあるのかもしれません。
ChatGPT単体では、そこにURLを張り付けても、そこを読みに行ってはくれないので広告全体をChatGPTだけで見るのは無理です。
最近はPluginなんかも出ているので、それを使ったらいいのかも?

今度やってみます。

本日のまとめとしては、ChatGPTは参考にはなるけど核心はついていないため、まだ、人間の活躍の場はありそうです!